サクリファイス


【ユーザーによる評価】 平均評価: 4.0/ 総数: 28件
[1点] 典型的運痴小説
スポーツをしない作家によるスポーツ小説は、すぐにわかる。

「何故走るか」ということをクドクドと説明しているからだ。

走っている人なら、そんなことは説明できることでもすべきことでもない
ということをカラダで知っている。「そこに山があるから」という言葉は
スポーツをしないと決して理解することができないのだ。

そういう意味で、この本は、この地上で最も過酷なスポーツを舞台にして
いながらスポーツ小説ではない。

ミステリとしても悪役が弱いし、主役も日本人女性作家によるスポーツ小説に
よくあるとんとん拍子の爽やか君だ。

そしてそのとんでもない結末はいくらなんでも有り得ない。脱力したよ。
とんでもない結末へ導くにはそれなりの力量が要るが、作者の力不足は明らかで、
せっかくの題材が死んでしまった。

何となく集英社刊か?と思ってしまった。 (2008-05-12)
[4点] 駆け引きの難しい競技ですね・・・
チームには勝つことを義務づけられたエースがいる。
そして彼を勝たせるためにサポートするアシストがいる。
アシストはエースのためならば、
たとえ自分の成績を犠牲にしてまでもエースのために働かねばならない。
とにかく私のようにロードレースに無知な人間は、
理解に苦しむこのルールにまずはただただ驚きました。

同じチームなのに、
誰が何を考えているのかわからないというもどかしさ。
アシストであっても、自分の力を見せつけて優勝したいという葛藤。
どう判断することが正解なのか?
答えの見つけられないもどかしさが読んでてたまりませんっ!

最後の最後に真実がわかった時には、
「サクリファイス」というタイトルが重く重くのしかかってきます。

一度、ロードレースをしっかり見てみたい。
実際の勝負の駆け引きを見ないことには、
この作品の真髄には触れたとは言えない気がするのです。 (2008-05-09)
[5点] 近藤史恵のイメージが変わった
某ミステリー本ランキング雑誌に載っていたので、読んでみました。
今までは歌舞伎を題材にしたシリーズものしか読んでいなかった近藤史恵作品。
今回の本で、イメージが変わりました。ランキングに入っていたことに納得しました。とてもよかったです。
表紙を見たときは、普通にスポーツものと思っていました。最初のページでえ?これって誰のこと?と思い、読み進むと驚きが次々と…。
しかも、自転車ロードレースのことなどまったく知らなかった私が読んでも、わかりやすく書かれていたのもよかった。
タイトルの意味がわからなかったので、カタカナ語辞典で調べて、そうなのかと改めて納得。
とにかく、スポーツミステリーを読みたい人はもちろん、スポーツミステリーを読んだことのない人にもオススメ。 (2008-04-29)
[4点] 私にとってこの本の意味
内容自体は他の方も書いてらっしゃいますが、
ページ数も多くなく、自転車競技を深すぎ浅すぎもせず描写し、
人物描写は直接的ではなく会話やストーリで語るため深くなく、
ミステリーは程よいどんでん返し。
あっさりと一気に読める作品としてはちょうどいいです。

しかし、そういうことではなく、私にとってのこの本の価値は、
■人が何に対して、どこまで、自らを犠牲にできるのか
ということを考えさせられたということです。

恋愛?家族?仕事?趣味?
人は、自分は何にどこまで自分をささげられるだろう、
そしてどういう風に。。。

話自体は本屋大賞を取った後の帯になるのかな、
「読後の印象は前向きで、とても清清しい」
に同感。でもそれ以上に個人的には重い作品でした。

個人的には(趣味で、ですが)ロードバイクに乗るので
登場人物の非情さに、より感慨深いものがありました。 (2008-04-17)
[5点] 素晴らしき自転車レース!
「sacrifice」の意味は、「犠牲者」や「いけにえ」。
自転車レースの特殊性は、チーム内の一人のエースを勝たせるために、
複数のアシストが自分の勝利や成績を犠牲にして、持てる力の全てを
捧げるところにある。
自分もなかなかそのようなスポーツを理解しがたかったが、本作品には
そのエッセンスと素晴らしさが詰め込まれている。

スピード感ある内容で一気に読み切れる本作品。
結末には読者の期待を裏切らない感動のゴールが待っている!! (2008-03-30)
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